護符とは何でしょうか?
当ブログではしばしば護符を取り上げていますが、ちゃんと護符について解説したページがなかったので、すこしまとめた話をしたいと思います。
護符とはなんでしょうか?
護符とは、何らかの力を宿し、身につけることで効果を発揮するとされている符です。
形式としては、神仏の名前や形、言葉などを目的に応じて記した札であることが多く、しばしば陰陽道や神道の担い手によって書かれます。
先に言ってしまいますと、呪符や霊符、タリスマンも、護符と同じような意味合いの物になりますが──大枠でいえば、お守り、ということになります。
成り立ちや由来については、Wikipediaでも見れば、いろいろと書いてあると思います。
ここで申し上げたいのは、そもそもそういったお守りとはなんなのか、という話です。
それは、人が「ものを所有する」という行為をするようになったときに生み出された「概念や願望を投影するためのアイテム」になります。
すこし分かりづらい表現になってしまいましたね。
ちょっと難しい話をしますがお付き合いください。
人間というのは進化の過程において、動物の中で唯一「概念をイメージし共有する力」をもった生物に進化しました。
概念の例でいうと、例えばお札を例にあげましょう。お札はそれ自体はただの紙ですが、国が保証することによって価値をもちます。
1万円は1万円分のモノと交換出来るわけですが、それが交換できると理解して、1万円に正しく1万円分の価値を見出すことが出来るのが人間であり、人間の概念のイメージ力です。
この「1万円=モノの価値」という関係、「モノ=願い」という関係にも置き換えることが出来ます。
たとえば、道端の綺麗な石をひろった母親が、それを子に渡して「これはアナタを守ってくれる特別な石なのよ」と、言えば、子はそれを信じて受け取るでしょう。
こう書くと「お守り」というものが、人類にとってどういうポジションのアイテムであるか理解出来ると思います。
つまり、お守り=護符とは、何らかの共有できる概念(願いや希望)が付与されたモノ──「願望や意味の投影された物体」なのです。
護符の仕組みについて
話をもどします。
母と子とお守りの石ころについての例えで、お守りがどういう成り立ちで人々の間に生み出されたのかよく分かると思います。
では、それが護符の場合はそれがどのように発揮されるのでしょうか?
護符もベースの考え方は同じです。
護符はその背景に「なりたち」があります。神道由来か陰陽道由来か、あるいは仏教か道教か、欧米の一神教かもしれません。
それらの、思想的宗教的、文化的背景に基づいて、護符というのは作成されます。
冒頭で、護符は「由来となる思想/文化の神様の名前や文言が、しばしば記載される」というように申し上げましたが、まさにそれが、母の子に対する「意味を付与した言葉=願い/願望」にあたる訳です。
護符というのは何らかの宗教や文化や思想背景に基づいて意味を付与されたアイテムで、仕組みとしてはそれらの「背景」を力にして、効果を発揮するものになります。
では効果のほどはどうなのでしょうか? というか、護符はどのように効果を発揮するのでしょうか?
護符の効果はどのように発揮される?
先程、人は概念のイメージをする力があると申し上げました。
これは護符の効果にも発揮されます。
たとえば、1万円札の価値を考えた時、人はそれを必要だと考えて働いてお金を稼ぎます。 一万円札は護符ではありませんが、人を行動に駆り立てる、価値を持っているわけです。
護符の考え方も同じです。
護符というのは、特定の文化背景に基づいて、目的が記されています。またその目的を後押しする意味が付与されています。
人は、そういった意味が記載された護符やお守りに接することで、物事への取り組む力の後押しを得るのです。
簡単に言ってしまえば、交通安全のお守りを得れば、交通安全を意識するのです。恋愛や仕事であれば、それぞれの目的に基づいた願望を抱いているということであり、それらの意識は、常にアナタの行動に影響を与えます。
それらの、意識と無意識をコントロールするトリガーになるのが護符であり、お守りなのです。
では、霊符や呪符、タリスマン、アミュレットとは?
ここまで、護符やお守りの仕組みを申し上げれば、霊符や呪符、タリスマン、アミュレットの違いも見えてきます。
まず、タリスマンやアミュレットから。本質的な成り立ちは、タリスマンやアミュレットも護符と代わりません。
しかし、実は日本人が使ってもうまく効果を発揮出来ないアイテムでもあります。
なぜでしょうか?
それは由来となる、宗教や文化が違うからです。
──由来が異なるとどうなるのでしょうか?
護符やお守りの効果というのは、実はその人の属する文化背景の影響を色濃く受けます。
たとえば、タリスマンやアミュレットは、キリスト教圏やヨーロッパのアニミズムの影響を受けていますが、その文脈や文化、あるいは言葉がわからなければ、手にしたアミュレットやタリスマンの意味もわかりませんよね?
その結果、例えば日本人であればタリスマンやアミュレットの効果は半減してしまうのです。人は護符やお守りの背景となるものの影響を色濃く受けます。日本人であれば、西洋由来のアイテムよりも護符やお守りのほうが効果を発揮するのは当たり前の現象です(もちろん正しく意味を理解すれば正しい効果を発揮できますが)。
つまりは、そう心得てタリスマンやアミュレットに接する必要があるのです。
続いて護符や呪符について。
霊符や呪符とは何でしょうか?
霊符や呪符と護符の違いも、その成り立ちにあります。
護符が、その文字のとおり守るとあることで清い効果を発揮しますが、霊符や呪符はそこに記された、霊や呪の言葉のとおり──言霊のとおり、清い効果だけではない効果の発揮を目指したものになります。
物事の文化背景には正に対して負の部分もあり、負の部分も意識した使い方をするためのアイテムが、霊符であり呪符だということです。ですから、危険もあるということです。
あらゆる護符は、書き手と使い手と文化背景の影響下にある
以上のように、護符やそれに類する物事というのは、文化や言葉の影響を受けます。。
護符はそれらの相互関係によって、はじめて意味を成すアイテムなのだと理解しましょう。
最も気になるお守りと護符の効果の違いについては、別のページにも紹介していますので、よかったら読んでみてください。