陰陽道や神道の呪術的な行為には、呪い返しというのがあります。また人を呪わば穴二つという言葉もあります。これらは、誰かを呪うとそれが帰ってきて、自身にも必ず不幸が襲うという物ですね。
護符などに願をかける際の注意事項としてありますし、よくある藁人形的な物でも言われる物です。
では、実際には、これらの呪いが帰ってくるという、考え方はどういうロジックによる物なのでしょうか?
呪いがえしのロジック
実は、この呪いが返ってくるという事象は、呪い自体が元々持っている物ではありません。
本当は、呪いではなく罪悪感による物というのが正直なところなのです。
一般的な人というのは、自分の利己的な事情でもって誰かに不幸になってほしいと考えたときに、もしそれで相手が悪くなったのなら、何の代償も支払わずに自身だけが幸福になる、なんてことはあるのだろうか?というように考えます。
これは、因果応報という考え方が、普通の人の常識的な思考として現れた結果です。
そして、人というのは、害悪があるかもしれない、バチが当たるかもしれない、と考えてしまうと、本当にそのような事象を起こしてしまう、潜在的な行使力を持っている存在です。
ですから、罪悪感から人は自ら呪いがえしを発動する状況に陥るのです。
これには、もう少し細かい心理的根拠があります。人というのは相手に害なす場合であっても、自身に正当な正義がある場合は罪悪感を抱きません。
それは、正義の鉄槌ですから、自分は呪われないのです。
サイコパスには呪いが返ってこない?
でも、事象としては、やっていることは同じです。 これは、例えば正義を標榜する為政者が他国へ攻め入った際とか、悪気なくいじめをする人が不幸にならない理由の説明にもなります。憎まれっ子が世に憚るのは、そういう理由によるものです。
つまり、呪いを使う場合であっても、その人が罪悪感を抱かないのであれば、呪いは帰ってこないのです。墓を二つ掘る必要がないんですね。
ですから、例えばサイコパスのような人が、呪術や呪いを使うと、自分だけは害悪を受けずにそれらを行使することができます。
一方で、呪いを使っていても、そこに一瞬でも罪悪感を抱いてしまうと、巡り巡って、その人に呪い返しという形で不幸が襲ってくるのです。
このように、呪いや願いというのは表裏のものであり、人の意識構造に非常に左右されるものなんですね。
ですから、誰かを呪う際にはその辺りを念頭に置いて行うのが良いのです。
さて、あなたは罪悪感を抱かずにいられそうですか?