パワースポット：実は外出禁止によって、日本中のパワースポットが力を取り戻してきています

昨今のパワースポット事情

一昔前にパワースポットブームというのがありました。

それは、古くからの信仰の対象を現代の視点でクローズアップする試みでした。そこを訪れた人たちは、普段見過ごしていた、山奥や自然の中にある”その場”を見て触れることで、深く感銘を受けました。

パワースポットめぐりとは、人の営みから離れた場所にある土地を巡礼し、土地の神秘性や宗教性に心を寄せることで、初めて力を生むものです。パワースポットには人を引きつける何かがあり、間違いなく、触れた人に力を与えていました。

しかし──パワースポットブームというものがクローズアップされた最近は、多くの場所は人が多くてそれどころではありませんでした。雑誌やネットで紹介されたそれらの場所は多くは、観光地となってしまいました。神秘性は損なわれ、パワースポットもまた、その力を失っていきました。

これが、昨今のパワースポットの状況だと思います。

しかし現在──それは、ひそかに力を取り戻しています。幸か不幸か最近は、コロナ禍によって、ふたたび人が来なくなったのです。それによって、幾つかの神秘的な場は力を取り戻しています。

パワースポットってなんでしょう？

さて、ここでパワースポットについて一つ整理をしてみましょう。パワースポットには二つの側面があります。一つは観光地として。一つは信仰の対象として。そして厳密にはこの二つは同じ理由でパワースポットとして存在しています。

観光地がパワースポット？なんて思うかも知れません。パワースポットを好む人にしてみれば、観光客はその土地の神秘性を損なわせる「ガヤ」が集まる悪しき場でしかないかもしれません。しかし、よく考えてみましょう。観光地というのは、それだけでテーマパークでありアトラクションとしての側面があります。土地のおいしい料理に、楽しげなみやげものや、雰囲気のある町並み、なんだかウキウキする感じ──これらのポジティブな部分はすべて、あなたにプラスのパワーを与えるものです。余暇に観光なんて素晴らしいじゃないですか？帰りに温泉にでも入れば尚の事そう思えます。なにも、神秘性だけが心に力を与えるわけではないんですね。つまりは、観光地というのはその性質はいくぶん明るいものですが、パワースポットの一つなんです。

さて、次に、一般的には多くの人が思っているパワースポットについて──人里離れた、鎮守の森や、里山の奥深くにひっそりとある、信仰の対象。神道であったり、仏教であったり、或いは名も知れぬアニミズムに基づいた、巨木や石や景色かもしれません。そういうものに対して、人は古くから心をよせ、力を感じてきました。これらは皆さんが考えるところのパワースポットですね。しかしこれも、よく考えてみれば、観光地と同じ様に、人が価値を見出したからこそ力を得たのだとも言えます。

つまりは、誰かがそれが素晴らしいんだと考えているという点において、観光地も、信仰の対象となる何がしかの物や場所も同じパワースポットということなんです。

ただ、一方でそのどちらも、その場所なり観光地なりの「価値」に対して「リスペクトをしない」人たちが集まることで、場は乱されます。そういう誤った興味をもつ人たちが集まることで、パワースポットは価値を失います。正しく力を引き出すには、正しく場所を理解し感動する必要があります。ですがそれは、パワースポットブームがあったつい最近、ほんとうにないがしろにされてきました。

しかし、その状況に、昨今変化が生まれています。

そして現在それらのパワースポットは？

冒頭にもお伝えしましたが、それらのパワースポットは、現在、その有り様を変えています。不幸にも世界はコロナ禍にみまわれ、人々は外に出歩けなくなっています。しかし、その結果として、観光地やそれらの場所は人少なくなり本当に静になっています。

観光地は、人が少ないことで、華やかな力は失われてしまいました。しかしそれは、一方でその土地に古くからあった信仰の対象が神秘を取り戻すきっかけにもなります。極端な話──もし、奈良の大仏が無人で、その場にあなたしかいなかったとしましょう。その時、あなたは何を感じますか？たった一人で大仏に向き合ったなら、そこに圧倒的な迫力や畏怖を感じるのではないでしょうか？つまりは、昨今のコロナ禍は、価値あるスポットを強める方向に作用していると考えられます。