護符について調べていると、しばしば呪いの護符や呪い返しの護符というのを耳にすることがあると思います。
呪詛返し、呪いのお守り、などと言ったりもしますね。
呪いの護符は言葉の通り、他者を害し、貶め、嫌がらせをすることが出来てしまう護符です。そして、そういった攻撃的な護符を防ぐものが、呪い返しの護符ということになります。
なんとも物騒なお話ですが、その「呪い」にまつわる護符について解説してみたいと思います。
呪いの護符は実在するの?
これは実在する、というより、作れてしまう、と言ったほうが適切かもしれません。
護符というのは宗教的なバックボーンを後押しにして、対象の願望を具現化するための後押しを生み出す技法です。それはもちろん、ポジティブなことだけでなくネガティブなことに対しても使えます。
そして、そういう呪いの護符を作って販売している所があるかというと──これが存在するんです。悲しいことに。呪い符どころか呪術の代行から、形代の販売まで一通り行うところがあります。どことはいいませんし、教えることはしませんが、そういう行為を生業とする方もいらっしゃいます。
しかし一般的には、どの業者も呪い符を用意するようなことは、したくないと考えているでしょう。個人的な感想として、呪い符を作る業者に対して思うのは、リスクを考えると「よくそのような商売ができるな」と思います。
呪いの護符というのは、いろいろな所で聞くことがあるかと思いますが、作るのも使うのもリスキーなツールであるというのが、その理由です。
呪いのリスクについて
護符に関わらず、呪いというのは多大なリスクを伴います。
そのロジックとしては、基本的に願望や願いというのは、それがポジティブであれば、造り手にも行使するものにもプラスの効果を与えるのですが、ネガティブな願いであれば、それはそのまま自身に跳ね返る、という考え方によるものです。
細かく言うと、人が誰かを害する事を考えると「罪悪感」と「痛みの共感」というものが発生します。この罪悪感と痛みの共感という感情は、術の行使者に対して、因果応報を与えるのです。
因果応報とは、悪い行いをしたときに「なにかバチがあたるんじゃないか」という、無意識の償いの感情によって引き起こされることがほとんどです。
そして、呪いというのは、この罪悪感や因果と密接に関連しているので、造り手や使い手に、悪いものを跳ね返してしまうのです。
呪いというのは、かならず因果応報がセットで行われ、呪ったものも何がしかの悪い影響が発生するということを心に留めていただいたほうが良いと思います。
呪い返しについて
では呪い返しというものはどういうものなのでしょう?
これには、いくつか手法があります。
一つは、呪いのリスクの仕組みに則って、呪ってきた相手から悪い影響を受ける前に因果を返すことです。やり方としては、護符や法術によって、呪いを相手にそのまま返すパターンと、形代を立てて自身の身代わりとして、呪いを一回べつのもので受けてから相手に返すパターンがあります。
もう一つは、解呪といって、護符や法術によって、相手の呪いを諭して効果を失わせるものですね。除霊等に近いものになります。雑な説明をしてしまうと「あなたは良い人なのだからそんなことをしてはいけません」という術とでもいいましょうか。
概ねこの2つが呪い返しになります。
何れにしても、かける側も受ける側もリスクがあると思っていただいて間違い有りません。
呪い符は頼めば作ってくれるのか?
さて、先程、実際に呪いの護符を作る業者がいる、というお話をしたと思います。そこは流石に紹介しませんが、そうでない方に、縁切りや略奪愛といった呪いに近い護符のお願いをすることがあるかもしれません。
そういう時は、だいたい、どの術士、専門家も、断ってくると思うんですが、代替案として「呪わない呪い」というものを作ってくれることがあります。
これは、自身を害する、あるいは気に入らない相手に対して、ただ呪うのではなく「自身から遠ざかりつつ別の所で幸せになってもらうことを願う」ものです。
術者の苦肉の策ですよね。
こういう考え方で護符を用意するのであれば、それはポジティブであり、因果応報をもたらすことはないんですね。
これらの「呪い」は、護符の基本的な考え方を踏まえて、アレンジして扱うことで、危険ではない様々な応用をすることができます。