護符というと関連して陰陽師という職業が思い出されますよね。
そして陰陽師というと安倍晴明ですね。彼は、さまざまなフィクションにあらわれたことで、世に陰陽師という職業を広めました。
物語以外でも、彼に関連する神社として晴明神社がありますよね。こういうものが、陰陽師の護符というものに、ある種の神秘性を与えていると思います。
今回は、そんな陰陽師の護符とはいったいどういうものなのか、その効果やきかせ方について説明してみたいと思います。
陰陽師とは陰陽五行にもとづいて術を使う人
陰陽師というのは、その名のとおり、陰陽五行説という、東洋の思想体系に基づいて、物事を判断し術を行使する人たちです。
歴史の話でいうと、古くは日本の律令制下において存在した官職の一つであり、西暦500年から800年代にかけて、強く信じられるようになります。安倍晴明はその後九世紀頃に出現し、以後陰陽師は、時の政権によって重用され、武家が出てくる鎌倉時代まで歴史の表舞台で扱われてきました。
奈良平安を出自としていることから、公家や皇族のほうが信じる人は多かったようですね。
ではその源流はなにかというと、一つは古神道ですね。日本のアニミズム、シャーマニズムを源流とするもの。もう一つは道教。その内側に陰陽五行があり、周辺に仏教があった。
これらが合わさって、今に続いているのが陰陽道です。
では陰陽五行とはなにか?
なかでも大事なのは陰陽五行という思想です。この考え方は、現在の漢方医学にも通じるものです。
考え方の基本としては、世界のあらゆる物を、陰と陽と木火土金水に分類します。だから、陰陽であり五行(木火土金水)というですね。
そして、この陰陽五行にわけることでなにをするのかというと、基本的には陰陽五行説の考え方は、陰陽と五行のバランスが取れた状態が最も良い状態とされています。
で、病気や災害や不幸が起こるのは、そのバランスが崩れている状態と考えるんですね。漢方とかもそうです。つまりは陰陽の陽が増え過ぎたり、木火土金水の水や火が増えすぎてバランスが崩れた状態にある、と考えたのです。
そして、陰陽師は、呪法や霊符をつかって、そのバランスを整え補ってあげることで、物事をコントロールしようとしたのです。
陰陽五行と護符
そう考えると、護符の書き方というのは、結構書き方が定まっているんです。
本当にその人にあった書き方で考えてみましょう。
例えば恋愛であれば、相手が男性であれば陽です。女性であれば陰です。さらに暦を見て互いの生年月日から木火土金水の性質を出す(暦には六十干支が記載されていますが、あれは60パターンの陰陽五行を表しています。)。
これを同じ護符に書き連ねて、足りてない要素があれば護符の上で必要な陰陽あるいは木火土金水を補ってあげるのです。
本来はそういう書き方をして、願いを込めます。
恋愛の汎用符の場合は、男性と女性の陰と陽のモチーフを中心に、それが成就したバランスの良い形を符に起こします。コレを持って願いを抱くことで、目的を果たすのです。
漢字がよく使われているのは、その漢字が木火土金水のいずれかの意味を保つからです。
たとえば日がでてくれば丙であり、陽の炎を強めています。田であれば水と土、月であれば陰を強めている。草へんや草冠は乙で、陰の木です。木へんだと、甲で陽の木です。このあたりの組み合わせはちょっと勉強しなければ難しいのですが、概ね、そういう考え方に基づいて護符というのは描かれています。
多くの人は神主さんでも、けっこう意味もわからず書いていると思いますけどね、今は(私も文献がないとわからないですし、それでも通用してしまう暗示力がありますが)。
とにかく、それらの陰陽の意味を組み合わせて効果を発揮しているのです。